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海を愛した音楽家たちの「海」 【キャビンの棚】

 24時間、海はひとときとして同じ表情を見せることはありません。太陽、雲、波の動き、潮の流れ、風、そういった異なる「力」の組み合わせにより、海は刻々と変わっていくのです。
 ある早朝に見た海は、薄暗い空と同化して、まるでブルーのフィルターをかけたような、沈んだ青さで人を拒絶していました。それなのに、太陽が少しの光を海に投げかけただけで、静かに、しかし生き生きと、出航前の我らを迎える準備を始めます。
 荒れた海。とても沖には出られそうにありません。そんなときには、風と波の対話に耳を傾けます。凄まじいパワーが交錯する海を眺めているだけで、力が漲ります。

 海をこよなく愛したといわれるドビュッシーは、どのような海を表現したかったのでしょうか。彼の円熟期、1905年に完成した「海(LA MER)」は、作者の得たシンプルな海の印象を音で描いた、海を愛するが故に生まれた交響詩です。第一曲は霧のかかった夜明けの海、まさしく、人を拒絶する海から、人を迎え入れる海への変貌が描かれます。第二曲では波の戯れを、そして第三曲では弦と管とにより、優しい凪から凄まじい嵐までを描ききっています。
 目を閉じ、自分の海のイメージを描いてみたいものです。

 様々な演奏が録音されていますが、ここに上げたのは、1955年に録音されたデトロイト交響楽団によるもの。指揮者はポール・パレー。フランスの港町、ル・トレポールに生まれ育った音楽家です。そんな彼の「海」も興味深いですね。

「牧神の午後への前奏曲/海/夜想曲/イベリア」

レーベル:ユニバーサル ミュージック クラシック
演奏:パレー指揮/デトロイト交響楽団
価格:¥1,047 ※参考価格

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