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60年の時を超えて再ブレイク―ビーチ・ボーイズ 「サーファー・ガール」 【キャビンの棚】

 ウエスト・コーストらしいご機嫌なサウンドで1960年代から若者の心をつかんできたビーチ・ボーイズ。それから時を隔てた2020年、ローリングストーン誌「歴代最高のアルバム500選」で彼らの作品が2位となりました。なんとビートルズやローリング・ストーンズを上回りました。その事実に驚いたという人も少なくないでしょう。でも、揃いのストライプシャツを着てポップさを全開にした頃から、ビーチ・ボーイズの内に秘めていた高度な音楽性については、極めて専門的な評価を得ていました。ビーチ・ボーイズは名実ともに真の実力派バンドなのです。
 梅雨明け(もう開けたところもありますが)は間近です。夏らしさ全開ということで、今年デビュー60年目を迎える彼らの初期の作品「サーファー・ガール」をご紹介します。

歌詞がついた初のサーフィン音楽

  1961年にデビューしたビーチ・ボーイズは、中心メンバーのウィルソン3兄弟とその親戚、地元の仲間で結成したバンドです。それまでのサーフィン音楽はギターなどのインスト曲であり、彼らはサーフィンやカスタムカーといった若者カルチャーを象徴する歌詞をつけ、サーフィン音楽に新たな形を示しました。
また、ビーチ・ボーイズの特徴といえばコーラスワークの美しさです。それはウィルソン兄弟が、幼少期から黒人のモダンジャズのコーラスグループから影響を受け、互いにハーモニーを重ねてきたもので、他のグループから一線を画すものでした。

ブライアン・ウィルソンによる初プロデュース作品

 「サーフィン・サファリ」、「サーフィン・USA」とアルバムを続けて発表した頃には、ビーチ・ボーイズは全米から注目される存在となっていました。しかしこの2枚のアルバムは、カヴァーやインストを含んでおり、楽曲制作を担っていたウィルソン兄弟のブライアンは全てオリジナルの作品にすることを決意します。そして1963年、ブライアンによる初の全面プロデュースで3作目となる「サーファー・ガール」を発表しました。
 先に出た2作品と本作を聴き比べると、それまでのノリノリ感は薄らぎ、しっとりしたバラードが増えています。ビーチ・ボーイズの特徴であるコーラスワークがバラードの中でいっそう引き立つことも見逃せません。
 オススメは、全米7位を獲得したアルバム名でちょっと切ない「サーファー・ガール」やラブ・ソング「イン・マイ・ルーム」、ギターで弾き語る「ユア・サマー・ドリーム」の3曲です。
 本作以降、ブライアンはツアーなどに帯同せずに音楽制作を活動の中心に置きます。そして音楽的には、内省的なサウンドへ傾倒していきます。その点で本作は陽気さと落ち着きにおいて絶妙な按配のアルバムに仕上がっており、様々なシーンで聞けそうな1枚です。ゆったりとした夏のクルージングのBGMにもいいですね。
 ちなみに本作に多大な影響を受けた日本人のひとりが、ビーチ・ボーイズマニアを自称する山下達郎です。最も好きな作品の一つとして、自身のアルバムでも「サーファー・ガール」をカヴァーしています。

「Surfer Girl」
The Beach Boys
レーベル:EMIミュージックジャパン
参考価格:¥1,500(税込み)

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