海の近くの町に引っ越したら、海へ行く目的がちっぽけになりました。【海での時間 - vol.5】
新型コロナウイルスに関係する内容の可能性がある記事です。
新型コロナウイルス感染症については、必ず1次情報として厚生労働省首相官邸のウェブサイトなど公的機関で発表されている発生状況やQ&A、相談窓口の情報もご確認ください。またコロナワクチンに関する情報は首相官邸のウェブサイトをご確認ください。※非常時のため、すべての関連記事に本注意書きを一時的に出しています。
見出し画像

海の近くの町に引っ越したら、海へ行く目的がちっぽけになりました。【海での時間 - vol.5】

「#海での時間」のコンテスト開催にあたって、

ヤマハ発動機社員も、みなさんと海での時間を分かち合いたい!

ということで、「ヤマハ発動機社員がつづる#海での時間」と題し、社員のリレー投稿を実施しています。

第5回は、ブランディングのお仕事をしている、入社3年目の女性社員MNさんです。

―――――――――――――――――

こんにちは、ヤマハ発動機のMNといいます。社会人最強の免罪符、“新人”カードはそろそろ使えなくなってきた、入社3年目の女子社員です。

今回弊社がnoteコンテストを開催するにあたって、せっかくだし社員も「#海での時間」をお題にnoteを書いてみよう!ということになり、執筆者に任命された1人です。「承知しました、書いてみます!」と元気よく返事はしたものの、さっそく真っ白の原稿を前にして、たった5文字のタイトルを眺めながらスラスラと執筆開始……できるはずもなく。

「とりあえず、まずはネタ出しから始めよう」と、これまでの海での思い出を振り返るためスマホのカメラロールを漁り、親指のスクロールがスッスッと過去5年分ほどの写真をさかのぼったあたりで、はたと気づきました

私、noteを一本書けるほどの“海での時間”を過ごしたこと、ないのでは?

海の思い出がまったくないわけではありません。

バレー部だった高校時代の夏、「遠征合宿」と称して部員みんなで海辺のバンガローに1泊し、実際はただビーチバレーと花火をして遊んでいただけの思い出。
大学時代に親友と行ったグアムで、人生初のパラセーリングとバナナボートではしゃぎ倒し、浜辺のレストランで水平線に沈む夕日を眺めながら乾杯した思い出。
入社1年目、有給をとってひとり石垣島へ飛び、BEGINの『島人ぬ宝』をBGMに川平湾までのんびりレンタカーでドライブした思い出。

どれも本当に楽しかったし、スマホのカメラロールには今でもたくさん写真が残っています。

ただ、いざこうして文章を綴るとなると、Twitterで何万RTもされている超バズりnoteのような劇的ストーリーを思い浮かべてしまい、対して自分が持っているエピソードは誰もが経験していそうな陳腐なもので、文章に起こすほどのものでもないと考えてしまうわけです。どんなにひねり出したって、真冬の海辺でローション相撲したなんて話、あるわけないじゃないですか。

思えば私は、海に対する“思い入れ”というものがそれほど無く、誰もが一度は聞かれたことがある「海派?山派?」の質問には、間髪入れず「山派!」と答える人間です。どっちかというと潮の香りより、生い茂った樹木とちょっと湿った土の匂いが好き。

学生時代は、夏が来ても「ヨッシャー夏だ!海行こうぜ、海!」と自分から友達を誘ったことはありませんでした。海水浴にいたっては、本音を言うとどちらかというと苦手なほう。だって海水浴って、どんなに対策しても日焼けするし、海水で髪も肌もベタベタになるし、帰ったらどんなに濯いでも何故か無限に砂が出てくる水着を洗わなくちゃいけないし。

こんな感じで、今までの人生で特筆すべき海の思い出はなく、海に遊びに行くことに関してはもはやネガティブ思考に近かった私ですが、実はここ数年で、海に対する気持ち的なハードルが下がりました。きっかけは、就職を機にヤマハ発動機本社がある静岡県磐田市へ引っ越したことです。

私の出身は愛知県の尾張地方なのですが、地元からは海に遊びに行くまでのアクセスがやや面倒でした。単純に一番近い海となると名古屋港がありますが、そこはどちらかというとイルカ&シャチのショーを見るところで、泳いで遊べるような海ではありません。知多半島のほうまで行けば泳げなくはないけど、高速を使っても最低1時間以上はかかる。さらに“きれいな海”を求めると、もはや太平洋ではなく日本海を目指し福井県(車で3時間弱)まで行こうとするのは、愛知県民あるあるでしょうか?

そんなわけで、私にとって「海に行くこと」は、心理的だけでなく物理的にもちょっぴりハードルが高かったわけです。

現在は会社近くの社員寮に住んでいるのですが、そこからまっすぐ南へ下っていくと、「福田(ふくで)海岸」という場所にたどり着きます。東西に何キロも続く防風林の小道を抜けた先には、だだっ広い砂浜と、180度見渡せる遠州灘・太平洋の水平線が広がっています。ちなみに福田の名物はシラスです。生でも釜揚げでも本当に美味しいですよね、シラス。

画像1

タイトルの「海の近くの町」で、どこからでもオーシャンビューな港町とか、家から徒歩1分で海沿いに出るとか、もしかしたらそんなイメージさせてしまったかもしれません。実は福田海岸までそんなに近いわけではなく、車でも約15分弱かかります。それでも、地元にいたころは海を見るためには最低1時間ほど車を走らせなければならなかった私にとって、今住んでいる環境は十分「海の近く」なのです。

ここで話は1年さかのぼり、新型コロナウイルスの影響で、会社から県外出身者へ「帰省自粛」の通達が出た2020年8月の盆休み。実家に帰れず、地元の友達にも会えず、見事にやることがなくなってしまった私は、寮で同じく時間を持て余していた仲のいい東京出身の同期と2人、部屋で一緒に映画を観たり、ゲームをしたりして過ごしていました。

なんだかんだ楽しく過ごしてはいたのですが、計9日間の連休折り返しにも差し掛かってくると、クーラーの効いた部屋でだらだらと過ごしているうちに貴重な夏休みが終わっていくことに、どうしても虚しさを覚えてしまいました。

人込みは避けなければいけない。
でもせっかくの夏休みだし、なんとか夏は感じたい。
夏といえば、やっぱ海?

……海、近くにあるじゃない。

「あした早起きしてさ、海に日の出、見に行かない?」

思えばこれが、「ヨッシャー海行こうぜ、海!」をしたことがなかった私が、人生で初めて友達を海に誘った瞬間でした。「いいね、行こ行こ!」と、同期がすぐにのってくれたことにホッとしたのを覚えています。こうして私たちは、正月でもないのに思いつきと勢いで、朝日が昇るのを見るためだけに福田海岸へ行くことを決めました。

夏の日の出は早い。翌日、朝4時半に出発し福田海岸へ到着した同期と私は、浜辺に落ちていた流木に腰かけ、早起き故の体の気だるさを感じながら、だんだんと明るくなっていく東の空と海を眺めていました。まさにあれだ、新しい朝が来た、希望の朝だ。

やがて水平線から光が漏れ出し、そして朝日が顔をだす……

という景色を見れるかと思いきや、

陸側から登ってきたんですけどね、太陽。

画像2

「思てたんと違う!」なご来光を拝むこととなりましたが、それでも今もなお心に残る、とても美しい一日の始まりの光景でした。

あとサーファー越しの朝日がなんかすごくエモかった。

画像3

朝日が昇った後も私たちは、そのまましばらく砂浜で過ごしていました。ゆっくりと押しては引くを繰り替えす波を眺めながら、仕事の話、プライベートの話、趣味の話、ていうかこの先世の中どうなるんだろうねって話、etc……。道中コンビニで買っておいた朝ごはんを食べながらぽつりぽつりと語る時間は、とても静かで心穏やかなものでした。

そのとき、ふと気づいたのです。
あ、自分が好きな「海での時間」ってこれだ、と。

せっかく海に行くなら泳がなきゃMOTTAINAI!な土地で生まれ育ったためか、「海での時間=海水浴(ただし海水浴は好きではない)」という価値観を持っていた私でしたが、いつでも気軽に海にアクセスできる今の環境を手に入れたことで、海で過ごすことに対する考え方が変わりました。

別に泳がなくったっていい。全力ではしゃがなくったっていい。レジャー道具を持っていかなくてもいい。潮風と、波の音と、時間が流れていくのを感じる、ただそれだけ。海に来る目的なんて、こんなちっぽけなものでもいいんだ。

私にとっての「#海での時間」は、「何もしない時間」です。

最後に余談ですが、実は今年、ちゃんとお正月にも福田海岸へ日の出を観に行きました。年末年始は地元有志「海岸通り発展会」の方々により砂浜に朱色の鳥居が建てられるのですが、冬は夏よりも太陽が南寄りになるため、鳥居越しの水平線から昇る朝日を見ることができます。この福田海岸の鳥居は、最近大人気の某ゆるーいキャンプ漫画にも登場しているらしいです。日本人の魂に響くこの神秘的な光景は、ぜひ皆さんにも見ていただきたいです。

画像4

以上、ここまでお読みいただきありがとうございました。皆さんの思い思いの「#海での時間」の過ごし方も、ぜひお聞かせください。

MN

―――――――――――――――――

「ヤマハ発動機社員がつづる#海での時間」記事一覧はこちら

twitter誘導バナー


いい記事だと思ったら、ハートマークを押して「スキ」してくれると嬉しいです。 「スキ」すると、季節のお魚イラストが釣れるかも。今日は何の魚かな?

マアジが釣れました。塩焼きでも刺身でもいいですね。
ヤマハ発動機の公式アカウントです。 「海やフネの近くで人生を楽しみたい、日常生活に海の香りと風を吹かせたい」という皆さまに、ほんのり潮気が漂う読み物や写真をお届けします。 18年間、海を愛する人達にお届けしてきたメールマガジン「Salty life」から引っ越してきました。