地球の寸法を元に作られた海の単位 【海の博物誌】
“|海里《カイリ》”は地球の寸法を基に作られた単位なんです。陸上で一般に使われている距離の単位「メートル」は、“光が真空中で299,792,458分の1秒の間に伝わる距離”とされています。それ以前はクリプトン86原子から出る光の波長でした。そのまた前は、国際メートル原器というものがあり、さらにその前は、地球の子午線(北極と南極を結ぶ線)の長さを基にしていました。
海上で距離を表すときは、今でも「海里」を使用しています。領海200海里などと言うときの海里がそれで、緯度1分にあたる地球表面の距離を表します。
1海里は緯度の60分の1の長さにあたり、約1,852メートルと決められています。また、スピードを表わすときは「ノット」を使います。1ノットは1時間に1海里進む速さ。国際的な単位がメートルに統一されている今でも、海里やノットを使うのは、海上の位置を“東経160度、北緯45度”のように緯度と経度で表わすから。
たとえば速さ10ノットの船が6時間真北に走ると、緯度1度移動したことになり、わかりやすいですよね。え?わかりにくい? わかりにくくても “海の男”たちにとっては、たとえレジャーの世界といえども、この単位を使うのが流儀です。使ってください。
なお、海里は英語ではnautical mile(ノーティカルマイル)、あるいはsea mile(シーマイル)で、日本では略して「マイル」と言うことが多いのですが、海でマイルと言ったら陸上で使用されるマイル(約1.6キロメートル)とは異なるのでご注意を。