海老より塩が大事かも、なんて思った 「海老のハーブ焼き」 【船厨- レシピ】
ひい、ふう、みい、よお、いつ、むう……。全部で12尾ありました。わりと大きなフィリピン産の“有頭赤海老”です。冷凍で、賞味期限を見ると元旦から一週間ほど過ぎた今日になっていました。どうやら、お正月料理用に仕入れたものの余りのようです。そして半額です。やったー! 奮発してクルマエビを使いたかったのですが、この手のエビ(海老)料理に使うなら美味くならないわけがないので、手に取りました。これでキラキラする地中海の、またはムシムシする東南アジアの、海辺のレストランの楽しい気分になれます。
この手のエビ料理、と書きましたが、要するに粗塩をふんだんに使用するエビ料理です。料理の名は「ハーブ焼き」としましたが、実際にはハーブより塩が際立ちます。舌の肥えた、グルメなお方は、使う粗塩にこだわってもいいかもしれませんね。
多くの人(というか筆者)が食卓で使用する「精製塩」とはちがって、「粗塩」は海水を濃縮してつくられた塩のことです。つまり、精製することで取り除かれてしまう旨味が、自然のままに含まれた塩なのです。美味いのです。
さて、このハーブ焼き、作り方はとても簡単です。料理中、海老の香りがキッチンを包みます。もちろんその香りはダイニングまで届きます。出来上がるのを待つ間、香りを肴にワインやビールがすすみます。そして食卓にドーンとスキレットごと登場します。見た目の判断は人それぞれでしょうが、基本的には、香りに抱いた期待を裏切らないと思います。
儀礼上、自分の皿に取り分けますが、かしこまるのはそこまでで、その後は遠慮無用、いつもどおりの野蛮人になってかまいません。写真にはフォークとスプーンらしきモノが写っていますが、手づかみで食べちゃいます。手はベトベトになりますが、ここだけの話、育ちのよろしくない筆者は指もなめちゃいます。でも、そこは真似はしないでください。野蛮すぎます。衛生上、いちいちおしぼりで手をふいて、指に付いた塩味を取り除くというもったいない行為を、本記事では強くお薦めします。
どちらにしろ、この料理は食卓を囲む者同志、その距離がかなり縮まります。
美味しくて楽しい! お正月の余り物で得た幸福感。2023年もいい年になりそうです。