日陰者のひとりごと「オーニング」 【海の道具】
大型クルーザーなら乗船者全員が船内に入って寛げるだけのスペースが確保されているだろうけれど、小型ボートはそうもいかない。操船者を含めて全員が空の下で立ったままというのは小型ボートの魅力ではあるが、特に真夏などはなかなかつらいこともある。
確かに波も穏やかな海上を、風を受けながら青空の下で疾走するのは爽快だ。夏のリゾートをイメージするとそんな光景が浮かんでくるし、実際テレビやポスターなどでも見かける。だが、実態はそう楽しいことばかりではない。ずうっと風に晒されればしんどいし、といって停まれば暑い。
昨今、紫外線は悪の権化と化し、殊に女性にとっては天敵とも言える。日焼けが健康の証し、夏に日焼けすれば風邪をひかないなどと言っていた昔が嘘のような手のひら返しの毛嫌い状態だ。
そんなオープンなボートの救世主が「オーニング=日よけ」だ。多くはナイロンなどのシート張りで、ステンレスやアルミの金属性骨組みにピンとシートを張ったものや、蛇腹式に開閉できるものなどがある。シートはかなり丈夫に出来ていて、しかも相当な風圧にも耐えられるよう、ばたつかないようにしっかり固定されている。
シートが1枚頭上にあるだけで、ボートの居住性は数段アップする。しかも降っても晴れてもオーニングは大活躍するのだ。
ただしこのオーニングを受け付けないカテゴリーのボートがある。バスボートだ。バスボートはその名の通り、バスという淡水魚をルアーで釣ることにのみ特化して造られたボートだ。キャスティングの邪魔になるものは例え便利であっても装備しない。
バスボートに限らず、キャスティング中心の釣りを好む小型ボートのオーナーは、あえてオーニングを装備しない方がいる。
それはそれでかっこいいけれど、やっぱり暑いだろうなあ、炎天下の水の上は。