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機能とデザインを意識した粋なレール 【海の道具】

 ボートをよく見てみると、あちらこちらにレールが張り巡らされていることに気づきます。特にバウ、船の先方部分にはぐるりと取り囲むように設置されているものが多いですね。ボートのボディの堅強さからすると華奢きゃしゃに見えるかもしれないけれど、取り付け部分はしっかりと補強されていて、人が寄り掛かろうがぶら下がろうが、びくともしない。それもそのはず、元より乗船者の落水を防ぐのがその主たる役割なのだから頑丈なのは当たり前なのです。

 とはいえ、やはりボートの外見上はスマートに、本体のフォルムを損なわないようにしなければならないから、そこは設計者の腕の見せ所。そんな設計者の苦労を思い浮かべながら改めてレールを眺めてみると興味深いものがあります。
 カジキ釣りなどで活躍する大型のスポーツフィッシャーマンなどはバウデッキで格闘することなどほとんどないから、ステム(先端の波切り部分)のかけあがりの角度を意識しながら、横から見た時のイメージがシャープに見えるように前方に突き出すようにデザインされているものが多いですね。またスポーツフィッシャーマンにはバウレールがないものもあります。

 一方、最近流行のルアーフィッシングを想定したフィッシングボートはスタンドアップでルアーをキャストするアングラーをしっかり支えられるように、腰骨辺りまで立ち上げたレールが取り付けられています。これはこれで、機能美というか、いかにもしっかり釣りをサポートしてくれそうな雰囲気を醸し出していて、頼もしく見えます。

 大きく目立つレールばかりではなく、3〜40cm位の短いレールも船体のそこここに取り付けられています。何気なく取り付けられているように思えますが、実際乗船してみると、ボートが揺れた時に、「おっ」と手を伸ばすと不思議とそこにレールが設置されていることに小さな驚きを覚えるはず。
 どこにどんなレールを取り付けるか。それがデザインとどうマッチするか。それはボートの利用目的などによってさまざまです。


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