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マイルスとヘミングウェイ、というこじつけ。 【キャビンの棚】

 マイルス・デイビスのトランペットはあまりにもジャズし過ぎていて、どうもここで取り上げるのに気が引けてしまいます。海辺で、というよりも、煙草の煙の充満した酒場で、ウィスキーでも飲みながら聞くイメージが強いせいかもしれません。でも、先日、よく晴れた海沿いの道路を車で走りながらこの「Milestones」を聴いていたら、妙にしっくりきたのも事実です。

 それともう一つ、マイルスを海に結びつけたくなる理由があって、それは、アーネスト・ヘミングウェイとの共通点だったりします。この二人の表現者の共通点とはただ、“いかにもアメリカらしいハードボイルド”であること。はい。思いっきりこじつけてみました。

 マイルス・デイビスはいうまでもなくジャズの巨匠です。文筆界の巨匠であるヘミングウェイよりも遅れること27年、1926年に同じイリノイ州で生まれています(これも共通点のひとつです)。
 マイルス・デイビスが車のスピードに対して異常なほどの執着があったというエピソードも、興味深い。マイルスにまつわる様々なエピソードを知ってわかるのは、彼は常にスタイルに拘っていた、つまり良い意味でナルシストであり、これもヘミングウェイに共通しているような気がします(偏った印象ではありますが)。

 さて、そんなマイルスが生み出した「名盤」と呼ばれるアルバムは数あるのですが、この「Milestones」もその中の一枚です。おすすめはタイトルナンバーの「Milestones」と「Two Bass Hit」。ともにスピード感と開放感があって、夏の海辺にも合う曲だと思います。もちろん曲調だけでなく演奏もスゴイ、と通の間ではいわれます。

 考えてみれば、キャノンボール・アダレイとジョン・コルトレーン、マイルス・デイビスが同じ場所で同時にブラスを吹いているのですよ。ジャズにそれほど詳しくない人でも、想像してみただけで感動するのでは?
 ちなみに「Milestones」には「里程標りていひょう」の意味の他、「画期的」という意味があり、間違いなく「miles tones(マイルスの音)」をかけたモノだと思われます。タイトルもシャレています。まあ、ダジャレなわけだけど。

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