細心にして大らかに〜トローリングロッド 【海の道具】
「釣竿」と、ひと言でいってもその形状は千差万別で、小さくは川でタナゴを釣る極細な和竿から、200kg級のマグロとファイトするような極太な物まで、対象魚によって大きく異なります。
ボートでの釣りとなると、イメージだけはカジキやシイラなど大暴れする巨大魚相手に悪戦苦闘するシーンを想像される方が多いかもしれませんが、それらのそれなりに高価なトローリングロッド、普通の竿と何が違うのでしょうか。
長さはさして必要としません。太さの割には短く、硬いのですが、粘るようにしなります。このしなりがポイントで、柔らかすぎると魚の引きに負けてしまうし、硬すぎても巻き上げるためのポンピングという動作がうまくいきません。
竿を引き寄せ、ググッとしならせておいて、戻す際の糸の緩みを巻き取ることで、魚を寄せるのだから、しなり加減が難しい。付いている糸のガイドがでかくごついのもカジキのような巨魚に負けないためです。
そして、あまり他の竿にはないのが、竿尻についている十字の切れ込み。この切れ込みが実はトローリングロットたる所以ともいえます。
この切れ込みを、ロッドホルダーやファイティングチェアのカップの底についている金具に差し込むことで、ロッドが回転したりすっぽ抜けるのを防ぐのです。
大物を釣り上げるには、大きな道具の細かいところにまで細心の仕掛けを施してこそ、釣果率が上がるというもの。とはいえ、敵はその辺りにごろごろしているわけではありません。
大枚はたき、大きな仕掛けを駆使して日がな一日大海原を彷徨っても、なんだい、海草しか引っ掛からないや、なんてことも多々あります。それでも嘆かない、嘆かない。
大らかな気持ちで海を満喫できた事に感謝しようじゃありませんか。