愛おしい「ホッケ」を美味しく頂戴するシンプルスパゲッティ 【船厨-レシピ】
北海道の代表的な海産物に、ご存じ「ホッケ」があります。同じく北海道海産物の花形・ウニやイクラに比べて値段が安く、拙子のような庶民でも気軽に口にすることができるのが有り難い。何より美味い魚です。
ホッケはかなり足の早い、つまり、傷むのが早い魚です。そのため、道外で生活する人は刺身を口にする機会はまったくなく、ほとんどが干物となります。これが残念なようでいて、そうでもない。繰り返しになりますが、一夜干しの干物が抜群に美味いのです。
この夏、日本最北の有人島・礼文島で、ホッケの刺し網漁に乗船する機会がありました。夜明け前の2時頃に船を出し、ホッケ用の刺し網を入れ、いったん帰港すると、その漁師さんは船を乗り換え、ウニ漁へと出て行きました。時間内にウニを取り終えて帰港すると、再び船を乗り換えてホッケがかかった網を揚げるために出漁します。そして帰港すると、陸で待ち構えていた奥さんやお父さんも加わってホッケを刺し網から外す作業を昼過ぎまで行います。夏はそんな忙しい日々が続きます。たいへんな仕事です。疲れもします。でも、ホッケもウニも今年は好漁が続いているようで、そのことが漁師さんたちを元気づけてくれます。
そんな漁師さんの働く姿、ご夫婦で仲良く作業をしている姿を見ると、ホッケがますます愛おしくなります。ウニも愛おしいですが、やはり気軽に口にすることができるホッケなのです。
帰京してすぐに、漁師さんにお裾分けしてもらった自家製の一夜干しを前に、この愛おしいホッケの料理のバリエーションを増やせないかと思案していたら、ペペロンチーノを思いつきました。
スパゲティと魚は相性抜群。アンチョビはもちろん、サンマやツナ缶などでも試したことがありますが、どれも美味い。ホッケで美味くならないはずがないのです。もちろん大正解でした。あまりにも美味かったもので、実はここに掲載する前に、礼文島の漁師さんに写真をそえて、お礼がてら報告しちゃいました。
「焼いても美味かったけど、スパゲッティも最高でした!」
するとほとんど間を置かずに「喜んでもらって本当によかったです!」と、生ビールの絵文字付きの返信がありました。北海道の漁師さんに、かんぱーい!