「とりあえずカラマリ」の安心が危機的です。 【船厨- レシピ】
世界のイカの漁獲高の半分は、日本で消費されるていることになっています。驚くべきことです。とにかく日本人はイカが好きです。刺身はもちろんのこと、一般的な和食の代表的存在である寿司や天麩羅にも使われます。料理だけでなく裂きイカといった乾き物、さらに駄菓子屋にも烏賊串があるように、子どもにも愛されています。日本列島、イカだらけなのです。
海外ではどうかというと、鱗のない魚介を忌避する一部の宗教国をのぞけば、おそらくほとんどの国でイカは食されます。
異国の地のレストランでメニューをひろげると、前菜の項に必ずと言っていいほど「Calamari=カラマリ」が載っています。カラマリとは、もともとはスルメイカなど、「槍状の形をしたイカ」を指すイタリア語ですが、レストランなどではイカの揚げ物、つまりFried Calamaliを指すことが多いようですね。このメニューがあるとなぜかほっとして、つい頼んでしまいます。かつて「イカないでー。 イカあった。イカった!」という昭和なダジャレが嬉しい某有名食品メーカーの「イカの塩辛」のテレビCMがありましたが、まさにそんな気分になります。
まずはビールを飲みながら、みんなで気軽にシェアできる。いわゆる日本人にとってカラマリは、枝豆感覚の「とりあえず」なメニューなのであります。
それなのに、日本では愛するイカの不漁がひたすら続いています。海水温の上昇の影響なのか、それとも乱獲なのか。よく言われる魚種交替なのか。いろいろな原因が指摘されます。でも、実は日本近海でイカが減少したのは、30〜40年ほど前にも起きていた現象なんですね。そしてその時の漁獲は回復しています。
今は耐えるときなのか。そのうちイカはかならず戻ってくる。そう信じたい。
とりあえず、暖かい部屋へ。そして冷たいビールとカラマリを味わいながら復活の時を待ちましょうか。