海中をセーリングするハマグリ 【海の博物誌】
昔の海辺はとてもにぎやかでした。砂浜にはハマグリやアサリ、マテガイがいたし、岩場にはサザエ、アワビ、ウニなどの高級魚介が張りついていたものです。
貝は、タイラガイなどのように、岩についていて、岩が動かないかぎり、そのままずっとそこに居続ける、というイメージがあります。
でも、岩とくっついている繊維をときどき切って、数メートルほど移動するアコヤガイなどもいるし、ふつうの二枚貝は貝を開閉したり足(舌)を使って移動します。
そのなかで一番活動的な貝として知られるのがホタテガイ。貝を開いて急に閉じるという動作でジェット水流をつくり、1回に1m50cmくらいまで海中を飛びます。この動作を繰り返したのでしょうか、数10kmも移動した個体があるとの記録もあるのです。
二番目はハマグリです。大量の粘液を吐き出して、それをヨットの帆のようにして、つまり面積による抵抗を利用して、巧く潮流に乗るのです。条件によっては、なんと時速60mで進むことができるそうです。
貝は見かけによらないものですね。人と同じです。