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夜明けのハーバーで舫いを放つ、高揚感を思い出す 「Miaden Voyage」 【キャビンの棚】

 自身が身を置く世界の素晴らしさを、高度な感性を持った第三者の表現によって改めて思い知ることはよくあることです。洗練された美しい絵や写真、文章、そして音楽。歳を重ねれば、その機会がさらに増え、人生がより豊かに味わい深いものになることでしょう。

 たとえば、ハービー・ハンコックの「処女航海(Maiden Voyage)」。このアルバムのライナー・ノーツの中で、ハービー本人は次のように語っています。

 「この音楽は、広大で威厳が漂う海、そこを進み行く処女航海中船の壮麗さ、遊び好きなイルカの優雅さ、ごく小さな海洋生物さえが必死に生きている様、さらにハリケーン、海の男たちの強敵である威厳ある破壊力を表現しようとしたものだ。」

 まさにその通りで、収められた5曲を通して、これを聴く海の男たちの様々な体験は、ますます美しい、詩的な思い出へ昇華するのです。また、これから始まる海での体験への期待も高まります。

 アルバムのタイトルにもなった一曲目の「処女航海」はとにかく「かっこいい」のひとことです。これからはじまる長いクルージングの初日、静かに動き始めた夜明けのハーバーを思い出します。みなさんは、どのようなシーンを思い浮かべるのでしょうか。

「MAIDEN VOYAGE」
ハービー・ハンコック
レーベル:東芝EMI
参考価格:¥3,000(税別)

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。

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