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意のままに動いてくれる有り難さよ 「油圧操舵機」 【海の道具】

  パワーステアリングなどという便利なシステムが乗用車に普及する以前、小径ハンドルにワイドタイヤ、なんてのが流行ったときには、ウンウン言いながら切り返しをした経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 今はもう、油圧でスイスイとハンドルを切るのが当たり前のようになっていますが、マリンの世界でも同様、今はほとんどが油圧でハンドルの動きを船外機やラダーに伝えています。

 ボートでは油圧操舵機といいますが、ハンドルの根元についているポンプからオイルを押し出し、ホースを通して、その吐出量でシリンダーを動かしています。シリンダーの先は船外機などに連結されています。
 ハンドルが軽いのは、ポンプを押したり引いたりする機構の中に歯車を仕込んでハンドルの力を増幅させているから。フィッシングの最中など、クルマと違って始終ハンドル操作をし続けなければならないボートの場合、クルマ以上に油圧機器の恩恵が身に染みるものです。

 小型ボートになると、割と色々なメカニックが剥き出しになっていて、その役割がどのように働いているのかがわかって面白いんです。
 ハンドルをクルクルと回すと、シリンダーが左右に動き、船外機も右に左にと首を振ります。これが船外機2基掛けになると、ダンスを踊るようにぴったり息を合わせて首を振ります。
 機構自体はとても単純なのですが、見ていると、自分の操作が忠実に伝わっている様子が見て取れて、なぜだかうれしくなります。

 部下も家族もペットでさえも、皆一筋縄では動いてくれない御時勢(私だけ?)、こういう動きを目を細めて眺めてみるのも、ボーティングの楽しみ、だったりして……。

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。



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