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デッキの上で潮風を浴びているかのような心地になります 【キャビンの棚】

 オクターブ奏法というギターの演奏テクニックがあります。1弦と4弦のオクターブ・ユニソンを1本の親指でつま弾きながら、同時に間の2、3弦の音を消去し、オクターブの異なる音を重ねて弾くことで、ソフト、かつ太い音を出すという方法なのだそうです。この奏法はジャズ・ギタリストのウェス・モンゴメリーが編み出しました。

 楽譜も読めず、音楽理論の勉強すらしたことのない彼は、耳でコピーすることからギターを覚えていったというエピソードがあります。
 そういえば、これはフィクションではあるけれど、アメリカの大学のマーチングバンドの世界を描いた映画「ドラム・ライン」の主人公も、楽譜が読めないのに驚異的なドラムのテクニックを披露していました。天才とはそういう人のことをいうのかもしれません。

 さて、そんな天才、ウェス・モンゴメリーの、いわゆる「イージーリスニング・ジャズ」の代表的なアルバムの一枚がこの「夢のカリフォルニア(California Dreamin')」です。
 アルバムタイトルでもある「夢のカリフォルニア」は深まる秋を感じさせる代表曲。1曲目に収められていますが、1966年にリリースされたママス・アンド・パパス(ジョン・フィリップス)の名曲を、彼の見事なオクターブ奏法とドン・セベスキーの編曲とオーケストラによって奏であげています。

 全編を通して、さわやかな潮風を浴びながら航く、船の上にいるかのような心地になれます。ジャケットにも惹かれますね。

「夢のカリフォルニア」
ウェス・モンゴメリー
レーベル:ユニバーサルミュージック
参考価格:1,650円(税込)

※この記事は過去の「Salty Life」の記事に加筆・修正して掲載しています。



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