マグロは時速150キロで泳ぐ。でも、いったいどうやって? 【海の博物誌】
ずいぶんと前の話ですが『マグロは時速150キロで泳ぐ』という本が話題になったことがあります。この本のタイトルから想像できる通り、マグロは泳ぎが達者です。また、マグロに限らずほとんどの回遊魚はみんな速い。
マグロを例にすると、体系は紡錘形で断面はほとんど円状になっています。そして身体の最も太い部分が中心よりやや後方に位置しています。これは層流翼形といい、これにより泳ぐ際に起こる乱流を防ぎます。
また、身体の対面はぬるぬるとした粘液に覆われています。これは、水の抵抗をより減らすための工夫で、鱗がなく、疲労を抑えて長い距離を早く泳ぐのに適した身体を持っているのです。
回遊魚は推進力のほとんどを尾びれでまかない、背びれは方向転換の時に使う程度。猛スピードで泳ぐような時はこれを使わず身体の中にしまい込んでしまいます。例えば、バショウカジキはその名の通り、芭蕉の葉のような大きな背びれを持つカジキですが、それでも泳ぐ際は、それを背中にある溝にしっかり畳み込んでいます。
また、回遊魚をよく見ると、背びれと尾びれの間に小さなぎざぎざがあるのがわかります。これには尾びれを激しく動かす時に生じる乱流を制御する働きがあるのです。
こうなるとまるで造船工学の最先端を地でいっているようなものです。神秘に満ちたものだといわざるを得ません。