渦を生む、時速19kmの水の流れ 【海の博物誌】
カナダのブリティッシュコロンビア州・キャンベルリバーは、北米大陸とバンクーバー島、またその他のいくつかの島からなる複雑な海峡です。ここでは凄まじい潮流がひとつの名物になっていて、場所によっては、まるで河川の激流のような様相を見せています。風景も川のようで、海にいることを忘れさせてしまいます。
さて、海流が風や海水の密度差などで生じるのに対し、潮流は潮汐(干満に)よって生じます。それに流れ方はというと、海流は一定の方向にだけ流れるのに対して、潮流は潮汐とともに約6時間ごとに反対の方向に流れます。
日本の沿岸で最も早い潮流は、鳴門海峡の上げ潮で10.6ノット(下げ潮は9.3ノット)。2番目は来島海峡の上げ潮9.7ノット(同8.9ノット)、以下関門海峡の下げ潮8.5ノット、明石海峡の上げ潮7.1ノット、大畠瀬戸の上げ潮6.9ノットと続きます。1ノットは毎時1,852mのことだから、鳴門海峡の上げ潮は時速19.63km、同下げ潮は時速17.22km。速いですね。
潮の強さで知られる黒潮が、最も速くなる潮岬沖でも2.5~4ノット、時速4.63~7.4km。動力を持たないダイバーや漂流者が、なすすべもなく運ばれてしまうこの海流と比べても、瀬戸内海の潮流の速さはケタはずれといえますね。