海が育んだ旨味成分たっぷりのパスタ。 【レシピ- 船厨】
これは小さな子供でも知っていることだと思うのですが、イカというやつは外敵に襲われると目くらましに墨を吐きます。だから、明け方、漁港に帰ってくるイカ釣り漁船は、たいていはイカスミで真っ黒に汚れています。
このイカスミには旨味成分が含まれていて、イタリア料理では当たり前のように使われているようです。よくある言いぐさだけれども、この真っ黒な液体を初めて口にした人——イタリア人だか、スペイン人だかは知りませんが、ほんとうに「よくぞやってくれました!」と感謝したくなります。
地中海沿岸だけでなく日本でもイカスミは食材に使われてきました。たとえば沖縄ではその名もそのまま「イカスミ汁」という郷土料理があります。イカ、豚肉が入っていて、カツオのだしとイカの墨で作られた、芳醇な味わいの汁物です。
富山には「イカの黒づくり」という塩辛があって、これにも古くからイカスミが使われてきました。これまた美味いです。
さて、自家製トマトソースがあったのでペスカトーレを作ってみました。パスタには「スパゲティ・コン・ネーロ・ディ・セッピア」を使用。かっこつけて使ったこともない正式名を調べて書いてみましたが、ようするにイカスミを練り込んで作ったスパゲティです。独特のコシがあって、すばらしい風味があります。なんといっても視覚的にも客をもてなすにインパクトがあります。そして簡単。おすすめです。
海が育んだ旨味成分をぜひ堪能してください。