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人を熱狂させるカジキですが、まずは落ち着いてココナッツミルクなど。 【レシピ- 船厨】

 カジキを指して「カジキマグロ」という人をときどきみかけます。なぜそのような誤った言葉が使われているのでしょうか。なんとなく味が似ているから?それとも大きいから? メディアで影響力のある有名人が間違えたのかな?
 いずれにしろ「カジキ」は「マグロ」とはまったく異なる魚です。「カジキマグロ」というのは、「アジタイ」とか「サケメダカ」「サメマンボウ」とか「サバフグ」と言っているようなものなんです。おっと。「サバフグ」は実在しますね。

 日本の沿岸や近海ではさまざまなカジキが漁獲されます。なかでもメカジキが美味とされ、人気があります。漁法は延縄が中心だと思われますが、「ニッポンの魚獲り」でも紹介されている、表層に浮いてきたメカジキを銛で突く「突きん棒」といった興味深い漁法もあります。

 この記事に触れたことで無性にメカジキが食べたくなってしまったのでした。何か面白い調理法はないものかと料理の本をあさっていたら、尊敬していた料理家のご子息のレシピがあったので、それを参考にしてココナッツミルクを使ったメカジキ料理に挑戦してみました。

 「大正解」でした。かなり美味いです。和食にココナッツミルクを使用した料理なんてそうはないと思うので、意外と思われるかもしれませんが、アジアのカレーがそうであるように、白いご飯にだって合います。筆者は最後に残ったソースをご飯にかけていただいちゃいました。辛すぎないところも好感度高いです。

メカジキのココナッツソース
■材料(4人分)
メカジキ 4切れ、タケノコ水煮 200g位、ニンニク2片、サラダ油 大さじ2、酒 大さじ4、豆板醤 小さじ2、ココナッツミルク 400g、ナンプラー 小さじ2、オイスターソース 小さじ2、砂糖 小さじ1/2、塩・胡椒 適宜、香菜(パクチー) 適宜、輪切り赤唐辛子 適宜
■作り方
1)タケノコは5ミリの厚さのくし形に切る。ニンニクはみじん切り。香菜は葉を細かく切る
2)熱したフライパンにサラダ油大さじ1を引き、塩・胡椒をしたカジキを入れ、蓋をして中火で両面を焼いて取り出す
3)フライパンを洗ってから再度熱し、サラダ油大さじ1を入れ、ニンニクと豆板醤を弱火で炒める
4)香りが立ったら、タケノコを加え、強火にして軽く炒める
5)酒を加えて混ぜ、ココナッツミルク、ナンプラー、オイスターソース、砂糖を加えたらよく混ぜて、塩胡椒で味を整える
6)カジキを戻し入れ、中火でからめたら皿に盛り付け、好みの量の香菜と赤唐辛子を散らす

 さて、食材としてのカジキだけでなく、釣魚としてのカジキに興味をお持ちの方もいらっしゃると思います。カジキはキング・オブ・ゲームフィッシュといっても過言ではありません。多くの釣り人を熱狂させ、その人生に影響を与えるほどの圧倒的な存在感を誇る釣魚なのです。

 世界の釣魚の記録や管理すること、釣りを人生を豊かにするレクリエーションとして永続させることなどを活動の目的としているIGFA(国際ゲームフィッシュ協会)という団体があります(日本にはその傘下団体としてJGFAが存在)。そのIGFAには9種のビルフィッシュ=カジキが記録管理の対象魚として登録されています(JGFA=日本ゲームフィッシュ協会のサイトより転載)。

 シロカジキ Marlin Black
 ニシクロカジキ Marlin Blue(Atlantic)
 クロカジキ Marlin Blue(Pacific)
 マカジキ Marlin Striped
 ニシマカジキ Marlin White
 バショウカジキ(太平洋) Sailfish Atlantic
 バショウカジキ(大西洋) Sailfish Pacific
 フウライカジキ Spearfish, shortbill
 メカジキ Swordfish

 流さないでよく見てください。不思議です。混乱しませんか? 左が和名、右が英名です。“シロ”カジキが”ブラック”マーリン? ”クロ”カジキが”ブルー”?” ホワイト”マーリンはシロカジキではなくニシマカジキ?
 こんな調子なので、カジキマグロ問題と同じく、カジキの名称については古今東西、ネット上においても混乱した様子が窺えます。
 これは水中を泳いでいるとき、漁獲後にデッキに上げてから、そして死んでから、カジキの体色がおもむろに変化するので、呼び名がいろいろになってしまった、というのが原因のようです。
 でも、釣り好きを自認するなら、IGFAの登録名称で覚えておくのが良い、というか、その方がマニアックにみえて、カジキをそれっぽく語ることができそうです。

 なお、IGFAでは、生涯にこれら9種類すべてのカジキをIGFAルールに則って釣り上げたアングラーを顕彰する「BILLFISH ROYAL SLAM CLUB」という制度(クラブ)があります。中には1ヶ月ほどで太平洋と大西洋の双方で釣りをして、達成した酔狂なアングラーもいます。

 リストをざっと見たところ、このクラブに名を載せた日本人はまだ存在しないようです。何年かかるかわかりませんが、目指してみてはいかがでしょう。

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