作り始めてから45日後に待ち受けていた歓喜 【船厨- レシピ】
イワシという魚の過酷な生き様に、尊敬と哀れみが入り交じった感情を抱きつつ、オイルサーディンをご紹介したのがおよそ4ヶ月前。以前、この「船厨」を連載していたソルティライフでは、そのウルメイワシを使ってアンチョビを作ってみたのですが、正直に申し上げると“失敗”でした。いや、美味いことは美味かったのです。それもかなり。ところが、市販されているアンチョビとは根本的に違うものが出来上がってしまいました。やはり、材料に難があったのではと思います。
そしてある日、海辺の魚屋を物色していたら、たまたま「ひしこイワシ=カタクチイワシ」が生で売っていたので、真っ先にアンチョビのことを思い出し、購入してみました。これはラッキーです。というのも、内陸の魚屋では生のカタクチイワシなんてなかなか手に入らないのです。これで「正統派」アンチョビになるはずです。
さて、「アンチョビ」とは、もともとはカタクチイワシの一種を指す単語です。なので、今回作ったものは正しくは「塩蔵アンチョビ」といいます。
「保存料」としての塩の効果は絶大です。何しろ生の魚をこうして2ヶ月後から食すことができ、さらに上手く保存すればさらに1年は持つというのだから。
塩を保存料として使用する食料は他にもいろいろあります。お馴染みのものでは「烏賊の塩辛」。野菜では「漬け物」もその一種。もちろん肉も保存ができて、プロシュートのような生ハムを美味しく頂けるのも塩のおかげです。
今回の「アンチョビ」づくりに気をつけたのは、その「塩」の量。前に作ったときに比べ、ちょっと多過ぎはしないかと思うほど、塩を使いました。
また、ネットなどでよく見かける一般的なレシピの「オリーブオイルに漬ける」のとは別に、オイルを使わずに瓶詰めにしたものも小分けして再保存してみました。結果的には後者の方が断然「アンチョビ」らしくなることを知りました(タイトル写真の左側がオイルを使わなかったアンチョビ)。
それにしてもこの「アンチョビ」作り。塩に漬けて冷蔵庫で熟成させること45日間。筆者の性格からして、この絶えきれないほどの期間が、その最たる特徴ではないでしょうか。そういえば前回は待ちきれずにちょっと早めに食べてしまったところも失敗の原因だったかもしれません。
待った甲斐がありました。口にしてみると「うへっ!」って程の塩辛さといい、独特の風味も、市販されているアンチョビと遜色はありません。さらにこのアンチョビには「手作りなのだ」という充足感が加わっています。
まずはピザに使ってみました。市販の生地に市販のモッツァレラチーズを使っただけです。それでもかなりの出来映えです。次はパスタかな。
アンチョビ作り、ぜひお試しください。