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仕事を通して広がった、ちょっと“変則的”な海の楽しみ方。 【社員紹介- 私が海を愛する理由】

 伊豆半島の東隣、神奈川県の最西端にある真鶴半島。先端には名勝・三ツ石を有し、また半島全体が原生林で覆われた、美しい自然を残す小さな半島です。

 「若い頃、初めて手に入れた原付バイクのRD50に乗ってこの真鶴にはよく来ていたんですよ。二宮(神奈川県)の家を出て、海岸沿いの135号線を走って真鶴半島をぐるりと走って。そんなツーリングを気軽に楽しんでいました」
 取材の待ち合わせ場所だった知人のボートがある真鶴のマリーナに、愛車のビッグスクーター「マグザム(MAXAM)」に跨がってやってきた伏屋友博さんは、学生時代をそう振り返ります。

伏屋さんが学生時代からツーリングを楽しんできた真鶴半島

 現在、ヤマハ発動機のグループ企業でモーターサイクルやボートの部品や用品を取り扱う株式会社ワイズギア東日本営業所に勤務する伏屋さんは、東京の国立くにたち出身。学生時代に神奈川県の二宮町に移り住んでから、一気に海が身近な存在になりました。

 ヤマハ発動機への入社は1985年のこと。入社当初はヤマハ製品の販売会社・ヤマハ東京株式会社(当時)に配属され、モーターサイクルの営業を担当。その時にセーリングボード(ウインドサーフィン)を手に入れます。

 「といっても、レースをやるとかそういうのではなく、気軽に海に出て行ける手段として楽しんでいましたね。朝早く葉山の海にやってきて、自由にセーリングを楽しんで、ときどき沖でのんびりボードに乗ってぷかぷか浮かびながら、車が渋滞している陸の道路を眺めては優越感に浸ってみたり。そんな感じです(笑)」(伏屋さん)

 最近では地元・二宮で知り合った町内会の役員さんのヨットに乗せてもらいながら海を楽しんできたことから伺えるように、伏屋さんはセーリングがお好きなようです。

ヤマハ東京からワイズギア時代にかけてカジキ釣りなど様々なマリンレジャーを体験(写真左)。
最近はヨット(セーリングクルーザー)も楽しむ

 「もともとセーリングって少しとっつきにくいところがあったんです。面倒くさそうというイメージがあったのと、入社当時のヤマハ発動機にはバリバリのセーラーがたくさんいて、どこか敷居の高さを感じていたところもあって。でも町内会で知り合ったヨットオーナーは、教職を退職してから日本一周を夢見てヨットを手に入れたような方で、気負った雰囲気が全くなく、いろいろと教えてもらいながらのんびりとセーリングが楽しめて、ヨットへのイメージが変わったところがありました。
 それに、セーリング独特の静かさも好きです。ボードセーリングもそうですが、いい風で走るときだけでなく、波がちゃぷちゃぷとハル(艇体)をたたいているような凪の海も、本当に“いいなあ”と感じます」

 伏屋さんにとっての“海を愛する理由”をお聞きしてみました。

「人間って本来、陸に棲む生き物じゃないですか。いわば海は人間にとって“掟破り”の場所なんですよ。そんな日常からかけ離れた異次元の場所で過ごす時間というのは本当に素晴らしいこと。そしてそんな場所に連れて行ってくれるのがボートやヨットなんです」

 さらに伏屋さんは「ボートやヨットを実際に動かし、もっと楽しめるようにしてくれる、それが本体を取り巻くアクセサリー、いわゆる部品や用品なんです」と続けます。

自社商品のGPS魚探の使い方をオーナーにアドバイス

 入社後にモーターサイクルの営業を担当してから7年後に配属されたのが同じヤマハ東京のマリン部品課。そこで10年間。さらに新規事業開発等の職を挟んでワイズギアのマリン営業課に異動してから10年間、伏屋さんはのべ20年間をマリン製品の部品や用品に携わる業務に関わってきました。

 実は現在、noteで連載中のマガジン「海の道具」はそんな20年の経験を活かした伏屋さんの執筆によるものです。

「ワイズギアのマリンの宣伝業務を担当しているときにnoteの前身であるメールマガジンで書いていたものを加筆、修正してもらい、再掲載しているものです。商品の直接的な宣伝ではないという制約を設けて書き溜めました。
 自分たちが取り扱うマリン用品のことをいろいろ調べているうちに、どこか用品に対して、それがヨットに付いている小さなブロック(滑車)でさえ、擬人化してしまうようになって愛情すらわいてくる。
 私が宣伝担当として取り扱った商品のなかにi-Pilot(船外機とは別に取り付けるバッテリーで作動する小型推進器)という商品があるんですが、これなんかもGPSを利用して定点保持をしようとするときなど、小さい身体で一生懸命、大きなボートを動かそうとウインウインと音を立てて頑張っている。健気けなげだなあ、なんて思ってしまうんです」

気楽に釣り。それでも取材の日は竿頭。写真は良型のオオモンハタ

 今回の取材では、短い時間でしたが真鶴にある知人のボートで釣りを楽しみました。その時、伏屋さんが持参してきたのは釣り道具ではなく、釣った魚をいっそう美味しく食べるためにワイズギアで開発した「TK式〆具」(いわゆる“神経締め”用の道具。現在は生産終了)です。
 「ワイズギアのマリンの仕事仲間と釣りに行く機会が多くあったのですが、周りは釣りの猛者が多くて、勝負にならない。対抗するってワケではなかったんですが、それならばと、この締め具を使って仲間が釣った魚をもっと美味しくしてやろうと考えまして。これもまた楽しいんですよ」

魚食の普及活動で著名な上田勝彦氏をアドバイザーに迎えて開発したという「TK式〆具」
釣ったハタの神経締めを見せてくれた。魚はゲストにプレゼント

 マリン用品と関わる仕事の中で、マリン用品が与えてくれる海の楽しさを知り、それを独特の形で深めている伏屋さん。ご本人が大好きだという野球に例えると、“変則モーション” “変化球”混じりのマリンライフはとても楽しそうです。

(題字:伏屋友博)

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