ヤマハ発動機 | 海の時間です。
海を近くに感じることのできる音楽や書籍をご紹介。新しいものから古いものまで、いろいろと取りそろえてみます。
海辺を歩き、湖畔や川辺に立ち、フネで沖をさまよう、マリンジャーナリストたちが見て、聞いて、知って、感じたことなどを綴っていきます。
魚が好きな人たちへ。日本の漁業従事者たちと、50年以上にわたってその仕事に寄り添ってきたヤマハのFRP漁船や和船。日本の食卓を彩り、楽しませ、人々の健康を支えている漁師たちの姿と彼らの船、漁法を覗いてみましょう。
マリンウェアからマリンギア、ボートやヨットのパーツに至るまで、ほかでは読めないマリン用品を扱うマニアックなヤマハマン担当コラム。
海を感じる料理、ときどきドリンクにまつわるお話です。「大雑把」「手抜き」ご免のレシピ付き。
表題の島は、伊豆諸島の「鳥島」のことです。本州からは600km足らず離れた—— 同諸島では最南の有人島である青ヶ島のさらに南200km余りの ——無人の火山島です。直径2.5kmほどの丸い小さな島には、かつてはアホウドリが大量に生息していましたが、明治期に羽毛布団のために乱獲され、火山噴火もあって、いっときは絶滅をあやしまれたこともある、そんな島です。 著者はナショナルジオグラフィック協会の後援を受けて、ダニエル・デフォーが小説『ロビンソン・クルーソー漂流記』のモデルと
西太平洋に浮かぶフィリピンのミンダナオ島、インドネシアのカリマンタン(マレーシアではボルネオ)、同じくインドネシアのスラウェシ島などに囲まれたセレベス海は、シパダンに代表されるように、極上のダイビングポイントを有する海として名高い。それと同時に、海を漂いながら生きてきたバジャウ族が定住しているエリアとしても知られている。シパダンの玄関口として知られるセンポルナの町も、人口の多くがバジャウ族なのだと聞いた。 現在のバジャウ族の多くは、海岸沿いに高床式の家を建てて定住してい
北海道の東の釧路市と根室市のなかほどに位置する厚岸町は、西からせり出した尻羽岬と湾口に浮かぶ大黒島に囲まれた湾(厚岸湾)が広がる穏やかな海を有しています。さらに湾の奥には、広大な森や湿原を流れてきた別寒辺牛川のミネラル豊富な淡水と、太平洋のプランクトン豊富な海水が混ざり合う汽水湖の厚岸湖が広がります。 そんな厚岸町の最大の名物はカキ(牡蠣)。日本には広島や宮城などカキ養殖が盛んなところは数多くありますが、厚岸のカキは一年を通じて出荷できることが特徴です。その理由は厚岸の
マリーナなどで見かけるボートの船首にローラーが取り付けられているのにお気づきでしょうか。賢明なる読者諸氏のご推察通り、あのローラーはアンカー(錨)を降ろす際に、ロープやチェーンなどで船べりを傷めないように、そしてスムーズにアンカーが降りていくようにするためのものです。 漁船などになると、前方に大きく突き出していたりして、俗名“角ローラー”などと呼んでいたりします。もう一つ、横向きのローラーの両サイドに縦向きのローラーが付いているものもあります。これは、アンカーを降ろした
先日、ある取材で広島を訪れた際に、時間を作って厳島に渡ってきました。日本三景の一つに数えられている、いわゆる「安芸の宮島」です。もみじ饅頭で有名なものだから、いい歳になるまで「秋の宮島」だと思い込んでいたことはここだけの話です。 地元の方や宮島に行ったことのある方はご存知だと思いますが、ここは食いしん坊にとって楽園ともいえる島です。買い食い天国なんです。 ほかほかの「紅葉饅頭」やら、熱々の「焼き牡蠣」やら、棒に刺さった練り物の「にぎり天」など胃袋がいくらあってもたりな
伊豆半島の東隣、神奈川県の最西端にある真鶴半島。先端には名勝・三ツ石を有し、また半島全体が原生林で覆われた、美しい自然を残す小さな半島です。 「若い頃、初めて手に入れた原付バイクのRD50に乗ってこの真鶴にはよく来ていたんですよ。二宮(神奈川県)の家を出て、海岸沿いの135号線を走って真鶴半島をぐるりと走って。そんなツーリングを気軽に楽しんでいました」 取材の待ち合わせ場所だった知人のボートがある真鶴のマリーナに、愛車のビッグスクーター「マグザム(MAXAM)」に跨が
本欄でドビュッシーの「海」を取り上げたことがありますが、今回は「海」と並び称される傑作「夜想曲」について触れてみます。 世紀末の1899年に作曲された「夜想曲」は、ドビュッシーがモネ、セザンヌ、ルノワールらフランス印象派の影響を受け、マラルメの詩に寄せた「牧神の午後への前奏曲」によって確立された管弦楽法を、さらに完成させた作品です。これによって印象主義音楽が確立された記念碑的な作品でもあります。 「それは不動の空を雲が緩く、憂鬱に動いていく光景であって、柔らかな白色
ボート遊びが盛んなニュージーランド北島の北部には美しい島や半島に囲まれたベイオブアイランドと呼ばれる極上のエリアがあります。 そんな美しい美しい海の曙をボートで走りました。 東の空が徐々に明るくなり、雲が橙色に染まります。 一般的な観天望気では「朝焼けは雨」と言われます。それは南半球でも同じで、「Red sky at night, sailor’s delight. Red sky in morning, sailor’s warning」(夕焼になったら漁師は喜べ、
海洋文学というと必ずといっていいほどあげられるのが『ロビンソン・クルーソー』と『白鯨』、それに『老人と海』。いずれも海に関する描写が素晴らしく、読む人の多くを海好きにしてしまいます。というのも、海洋文学を書いた作家には実際に海の生活を経験した人が多いからかもしれません。 たとえば『白鯨』のハーマン・メルヴィル。彼は早くも11歳にして貨物船の水夫になり、25歳になるまでの14年間を海で過ごしています。 1819年、ニューヨークで生まれたメルヴィルは、11歳でリバプー
海上自衛隊第71航空隊(岩国基地)に所属する救難飛行艇「US-2」は昨年、いったんは生産打ち切りが決まったのですが、今年になって一転復活、生産の継続が決まりました。世界でもまれな性能が考慮されたのでしょう。本書はその8年にわたった開発を追ったドキュメンタリー漫画です。登場する組織は実名、人物は仮名です。 巻頭。 2013年6月、宮城県沖1200km。雨が降りしきる中、ライフラフト(救命いかだ)で漂う2人の男性。かなり消耗しています。そこへゴオオオオオオオと舞い降りる
この前、ボートで釣りをしていたらシロアマダイが釣れました。釣り人の間では「幻の魚」などと言われていますが、実際のところどうなんでしょうか。 アマダイ自体、高級魚には違いありませんが、釣りとしてはそれほど難しい印象はありません。筆者のフィッシングフィールドでは、マダイを釣ろうとタイラバ(ルアーの一種)を使って釣りをしていると、時々普通のアマダイ(アカアマダイ)が釣れます。さらに時々の時々、シロアマダイが混じります。 「幻のシロアマダイが釣れました!」とよく耳にする通り、
先日、女性がひとり旅をするのにどこかお薦めはないかといった話をする機会があって、いろいろと思い巡らせているうちに、インドネシアのバリに足繁く通っている知り合いのことのことを思い出した。 その知り合いによると、何でもバリでは高級リゾートでの滞在が何よりも楽しいそうで、行ったらほとんどホテルの外には出ないのだという。私もバリには何度か訪れているが、海辺に出歩くことが目的の仕事旅だ。宿泊に利用するのはちょっと高価なビジネスホテルのようなところで、高級リゾートなどには滞在した経
牡鹿半島西岸の中ほどに位置する宮城県石巻市の給分浜漁港。沖に浮かぶ田代島や網地島が防波堤の役割を果たしているため、この辺りの穏やかな入江では、カキの養殖が盛んです。この豊かな海に、父子で出て行く安藤さんの姿があります。 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震とそれに伴う津波は、この地にも大きな被害をもたらしました。 当時、牡鹿半島沖で創業していた安藤渉さんと雄さんの親子は、そのまま沖に留まって津波から船を守ったそうです。 「幸い、直後に家族と携帯電話
海辺にいることを実感させてくれる風景というものはいろいろです。空飛ぶカモメやその鳴き声であったり、ずらりと並んだ漁船とそれにぶら下がる、きれいな陽を写すガラス製の集魚灯であったり。街道沿いに並ぶ定食屋や、防波堤の際に無造作に積み上げられた漁網などに海っぽさを感じて、しみじみする方もいると思います。 小さな漁港のスロープを上ったところにある、ちょっとした広場に天日で干された網の上の魚もまた、海辺を感じさせるもののひとつではないでしょうか。 日本人にとっては馴染みの深い
海は楽しい。海は美しい。海に行くと気持ちが良くって、ひとを幸せな気分にしてくれる。異論はないのですが、例えば、愛する人との別れや、人生の嵐に打ちのめされた悲しみを時に思い起こさせるのも、また海だったりします。 フレデリック・ディーリアスの「海流」は、アメリカの国民的な大詩人、ホイットマンの「草の葉」に寄せて、バリトン独唱、合唱、管弦楽のために作曲されました。 少年が見つけた、つがいの鴎。その鴎が親業に励む姿に、海は祝福するかのように輝きます。でも、ある日、雌の鴎は巣
このコーナーでサンマを描くのは二度目です。やはり秋はサンマです。 サンマはご存知のように漢字で「秋刀魚」と書きます。刀のように銀色に光り、細長い形からその字が使われたというのはよくわかります。実は、他にもいくつか漢字があって、その一つが「さかなへん」に「まつり」の漢字を組み合わせた「鰶」です。 「鰶」は「コノシロ」を指すのが普通ですが、江戸時代の一時期に、サンマが登場すると魚河岸がお祭り騒ぎになったことから、この字が使われていたそうです。 サンマが安かった頃は、発砲